2009年12月14日

相続放棄について

相続放棄とは

相続放棄とは、残った財産がプラスの財産が多くても相続せず、マイナスの財産が多くても債務の負担をしないことで、全ての相続を受け継がないということを意味します。
相続放棄すると、その法定相続人は最初から相続人でなかったということになります。

相続放棄の手続き

相続放棄の手続きは、原則として相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出します。
家庭裁判所に認められれば「相続放棄陳述受理証明書」が交付され、この証明書が相続放棄をした証明となるのです。
3ヶ月を過ぎてしまうと、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も全て受け継ぐという単純承認したとみなされます
相続放棄を検討されている方は、期限についての注意が必要です。

相続放棄の注意点

1. 3ヶ月以内に相続放棄をするかどうか決めることが出来ない特別の事情がある場合は、家庭裁判所に、「相続放棄のための申述期間延長」を申請することにより、この3ヶ月の期間を延長してもらえる場合があります。
2. 相続放棄は、自分の相続する権利全てを放棄するということなので、一部の放棄など条件をつけることはできません
3. 相続放棄は一度家庭裁判所に申述すると取り消すことができません
そのため相続放棄は相続財産がある程度はっきりした後に行うことをお勧めします。

相続放棄を選択するとき

マイナスの財産が明らかに多い場合相続争いなどに巻き込まれたくない場合に相続放棄を選択される方が多いです。
どのような選択をするかは一度専門家にご相談されることをお勧めします。

法定相続について

法定相続とは?

法定相続とは、遺言で相続分を指定していない場合に法律で定められた相続分で分けることを言います。
遺言書がなく、相続人の間での協議(遺産分割協議)が付かない場合に用いられるいわば相続の収拾策です。

遺言で法定相続人以外の人に財産を譲ったり、相続分を法定相続とは別に決めることもできます。
ただし、法定相続人の一定の人には遺留分というものがあり保護されていますので注意が必要です。

法定相続人とは?

法定相続人とは、被相続人(=相続される人)が亡くなったときに、相続する権利がある人のことです。
この権利は、法律で定められており、以下の人が法定相続人になることができます。

1. 配偶者(夫からみれば妻、妻からみれば夫)

ただし、婚姻関係のない内縁の妻や、愛人には相続権はありません。

2. 子供(=実子)、養子、内縁の妻や愛人の子供、胎児、あるいは孫、ひ孫

これらの人を直系卑属(ひぞく)といいます。
子供、養子が何人いても、民法上は全て法定相続人とみなします。
ただし、相続税法上の各種特典を受けることのできる法定相続人には、養子の数についての制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までしか認められません。

養子については、相続税法上では被相続人に子供がいる場合、法定相続人としては1人だけが認められます。
子供がいない場合は、2人までが認められます。

3. 父と母、あるいは、祖父母

子供や養子(直系卑属)が誰もいないときに、相続人になることができます。
父と母がいないときは、祖父母が相続人になります。
これらの人を直系尊属といいます。

4. 兄弟姉妹、あるいはその子供

子供や養子(直系卑属)及び父や母(直系尊属)がいないときにはじめて相続人となることができます。

以上が法定相続人となることができる人です。
遺産を相続する場合には、法律で相続順位が定められており、相続の有無はこの順位が優先されます。

相続の優先順位について

配偶者・・・相続順位はなく、常に相続権があります。
直系卑属・・・第1順位。配偶者と同様で、常に相続権があります。
直系尊属・・・第2順位。第1順位の相続人がいないときに相続権があります。
兄弟姉妹・・・第3順位。第1、2順位の相続人がいないときに相続権があります。

このように、上位の相続順位の人がいるときは、下位の人には相続権はありません。

相続分について

法で定められた相続財産の分配を「法定相続分」といいます。
法定相続分は相続人の構成状況によって定められていますので個々の事例によって異なります。

必ずしも法定相続分どおりの配分方法でなくとも問題ありません。
まず、遺言が最優先されます。
次に、相続人全員が話し合って(遺産分割協議によって)決めた配分方法も法定相続分に優先します。

各種届出について

相続が発生したら下記項目の手続きをそれぞれ期限までに行わなければなりません。

手続き・届出

手続き・届出の窓口

期限

必要書類

死亡届(戸籍) 故人の本籍地・住所地・死亡地・届出人の住所地の市区町村役場

7日以内

死亡診断書
火(埋)葬許可証交付申請 死亡届と同じ市区町村役場

7日以内

死亡届と同時に
世帯主変更届
(住民票)
住所地の市町村役場

14日以内

印鑑・国民健康保険証
準確定申告
(被相続人の確定申告)
被相続人の住所地の税務署

4ヶ月以内

確定申告書その他申告書類
運転免許証返却 住所地管轄の警察署

速やかに

運転免許証
健康保険証返却
健康保険停止・変更
国民健康保険:住所地の市区町村役場
健康保険:勤務先・社会保険事務所

速やかに

健康保険証被保険者資格喪失届
年金手帳返却
年金停止
国民年金:住所地の市町村役場厚生
共済年金:社会保険事務所

速やかに

年金手帳死亡診断書戸籍謄本
死亡退職届
(在職中の場合)
勤務先

速やかに

特になし
身分証明書返却 勤務先

速やかに

特になし

全体の流れ

相続開始後は通夜に始まり、葬儀、法要、お香典返し、納骨、挨拶状作成など大切な仕事がたくさんあります。
それらをひとつひとつこなすだけでも相当の気遣いと時間を費やすものですが、
ほぼ同時に相続手続きもしっかりとしていかなくてはいけません。
相続手続には、多方面、各種さまざまな申請が必要になりますので、しっかりと把握することが何よりも重要です。

相続全体の流れ

相続の流れ

注意点

死亡(相続開始)
葬儀の準備・死亡届の提出
死亡届は7日以内に行政に提出

葬儀等(葬式費用の整理)
遺言書の有無の確認
相続財産・債務の調査
遺言書は家庭裁判所の検認が必要
検認前の開封は禁止

※公正証書遺言は除く

相続人の確認 被相続人と相続人の戸籍謄本を取り寄せて調べます

相続放棄・限定承認
(3ヶ月以内)
相続放棄・限定承認の検討及び申立て
(申立てない場合は単純承認)

被相続人の所得税の申告と納付
4ヶ月以内)
相続財産・債務の調査
相続財産の評価・鑑定
準確定申告書の提出
評価の難しい財産は税理士など専門家に相談

遺産分割協議
(49日をめどに始める)
遺産分割を協議
相続人全員の実印と印鑑証明書が必要
納税の方法、延納・物納の検討

相続税の納付
(10ヶ月以内)
税務署に申告・納税

遺産の名義変更手続 不動産の相続登記など

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